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RDFは税金の無駄遣いか??

RDFは税金の無駄遣いか??

 平成20年3月に毎日新聞が、RDF化施設52か所の2005年度における処理費用を調査し、処理費用はごみ焼却処理の約2倍に達し、ごみ焼却処理と比較して年間200億円もの国民負担増を招いているとし、失敗事例を取り上げて「ごみ固形燃料化事業失敗、国に検証、解決責任」などの見出しでRDFによるごみ処理方法が問題であると主張している。
 さらに、ごみ問題に詳しいとされる某大学教授は、このような経済、技術、管理面のデータが公開されないままRDFが推進され、全国調査で具体的な数値が公開されたのは初めてであろうとし、ごみの発生抑制及び減量化を施策の中心とすべきであるとコメントしている。(毎日新聞:平成20年3月31日)
 しかしながら、RDFに深くかかわってきた専門家の立場から見ると、この調査から導かれる結論には大きな問題点があるので、以下に指摘するとともに、我が国のごみ処理の方向性を規定した循環型社会推進基本法(平成12年6月公布)の基本的な考え方(排出抑制、再利用、再生利用)に基づいて今後の在り方について私見を紹介する。
 第一は、RDF化はあくまでも廃棄物処理が第一義であることから生ごみも処理できるように乾燥工程を導入するので、灯油を余分に消費することになるが、RDFの発熱量は高くなり、最終的に燃料として利用できるRDFを製造しているのである。当然、経済性に欠ける点もある。
 しかしながら、生ごみと可燃物に分別し、可燃物のみをRDF化することにより乾燥工程を省略あるいは簡略化することができるので、これにより経費を3割程度軽減することは可能である。例えば、札幌市資源化センターの処理費は17,492円/tとあるが、この施設は生ごみを含まないので、乾燥工程がないことおよび処理規模が200トンの大型施設であるので、焼却処理よりも安価である。なお、RDF発電への利用により二酸化炭素削減に十分寄与する方法であることが検証されている(廃棄物学会論文誌、Vol.18.No.1,pp.37-48,2007)。
 廃棄物を循環資源として利用するにあたっては、単純に焼却処理と比較して経済的な視点からのみ評価すると多くのリサイクル事業は成り立たない。例えば、容器包装リサイクル法に基づくPETや白色トレー以外の「その他の廃プラスチック」のリサイクルは典型的な事例である。自治体が分別収集や選別を行ったうえで高炉還元剤等としてトン当たり約10万円を支払って製鉄所で利用している事例がある。リサイクル費用はプラスチックの製造・利用事業者が負担するとしても、自治体が廃プラスチックを別途に分別収集し、選別するだけで4万円/トン程度を要しているといわれており、これだけをもってしても焼却処理費であるトン当たり2〜3万円(新聞記事)と比べて著しく高いのである。
 この事例を見てもリサイクルは単に経済性だけで推進されているのではないことは明らかである。廃棄物を循環資源として活用することが循環型社会形成推進基本法の主旨であり、有限な資源・エネルギーに対応するために小資源国の我が国の取るべき施策となっていることを認識しなければならない。
 第二に、ごみ焼却時におけるダイオキシン類対策及び有効に熱利用を図るために焼却処理施設は24時間連続運転が基本であり、このためには日量100トン(おおよそ10万人が一日に排出する可燃物量)以上の処理能力(規模)が必要である。
 一方、RDF化方式は、それ以下の中小自治体において間欠運転(8〜16時間)を基本とした小規模方式である。
 つまり、焼却処理施設とRDF化施設では処理能力や運転時間が大きく異なるので、これを考慮せずに運転管理費を比較することは適切ではない。同じ規模で比較すべきである。焼却処理施設の100t/日以上の規模に相当するRDF施設について新聞記事より処理費用を抜粋すると次の通りである。
 稼働直後からトラブルが発生した御殿場・小山RDFセンター以外のRDF施設は焼却処理(2〜3万円/t)と全く遜色はなく、RDFは焼却よりも高いと結論することは不適であり、誤りである。なお、RDF発電を推進するにあたっては、中核となるRDF供給拠点が必要であることから大型RDF施設を建設し、周辺の中小自治体のRDFを集荷した発電に利用している事例が多い。

表−1 大規模RDF施設の処理費用(新聞記事より抜粋して処理能力等を備考欄に示した)

施設名

処理費用(円/t)

備 考

札幌市資源化工場  17,492  木くず、廃プラスチック、紙ごみ対象、200t/13hr
御殿場・小山RDFセンター  66,874 150t/日、稼働直後からトラブル多発
広域鹿島RDFセンター
広域波埼RDFセンター
29,481  142t/16hr
135t/16hr
河北郡市クリーンセンター  31,747  119t/日
大牟田・荒尾RDFセンター  20,676  225t/16hr
エコセンターはつかいち  24,027  105t/16hr
福山市ごみ固形燃料工場 15,398  300t/16hr

  また、焼却処理施設の処理費の根拠を示さないまま2〜3万円としているが、RDF施設と同じ内容(条件)で調査すべきである。たとえば、RDF方式とは異なり、焼却方式では必ず焼却灰等が発生するので、その処理が必要である。最終処分場の建設費や維持管理費などの費用を含むべきであるが、明らかにされていない。さらに、維持管理費が極めて高いガス化溶融炉などは、より大きな負担を強いられているにも関わらず全く触れていない。このような処理能力や運転時間を全く考慮せずに比較すれば中小施設であるRDF施設の維持管理費が高いのは当然であり、これを税金の無駄遣いとか、国に責任があると批判することは全く見当違いである。焼却や溶融方式でも極めて問題の多い事例や、運転管理費が異常に高い事例など多数あるにもかかわらずRDF化施設だけの問題とすることも公平性に欠ける。
 毎日新聞の記事は、サミットで取り上げられようとしている循環型社会推進の基本である3Rの取り組みに対する視点に欠けており、かつ実用化されているいくつかのごみ処理方式の評価が見えてこない。この記事の内容では焼却方式が有利であるかのような印象を与え、単なるRDF方式に対するネガテイブキャンペーンにすぎない。ごみ減量を実施したとしても短期間ではゼロにはならないのであり、現状を踏まえた合理的な主張を期待したい。
 第三に、家庭ごみのRDF技術は平成2年頃から実用化された技術であり、ごみ焼却処理技術の昭和30年代から実用化した技術と比べると確かに見劣りはするが、焼却設備と比べて工程が複雑あるいは機械設備が多いとの指摘も疑問がある。焼却技術は、800℃以上の高温下で滞留時間を2秒以上確保し、完全燃焼(CO濃度;100ppm以下)させ、さらに高温排ガスをおおよそ200℃程度に急冷するなどが規定されており、機械設備は高度で複雑である。
 一方、RDF工程は、破砕、選別、乾燥、圧縮からなり、古くから実用されてきた技術の組合せである。熱風を用いて乾燥するとしても600℃以下であり、焼却技術と比べると単純技術の組み合わせである。
 RDF化普及の背景は、様々な環境問題を起こしてきた従来の焼却−埋立方式からの脱却を試みたもので、かつ将来の燃料高騰などを視野に代替燃料として可能性を追求したものであり、住民の同意により推進されてきた方式である。単に安価にごみを処理するのであれば、埋立処分が最も安価であり、単純焼却も優位である。しかしながら、このような方法は社会に受け入れ難くなっていることを認識すべきである。このため、少々割高であってもリサイクルを推進することが国の方針となったのであり、部分的な問題点を捕え、これを指摘するだけでは全国紙の主張としては理念が低い。
 第四に、このようなRDF施設の維持管理データは公表されていないとコメントされているが、環境計画センターでは、平成12年度に環境事業団地球環境基金助成金を受け、全国のRDF施設の維持管理状況のアンケート調査及び一部聞き取り調査を実施し、第12回廃棄物学会研究発表会(鍵谷、川口;ごみ固形燃料の有用性と環境保全に関する調査研究(T)-RDF施設の維持管理状況について-;A8-8、p.250-252(2001.10)などで公表している。また、RDF技術については当センタ−が平成6年からごみ固形燃料化技術セミナーを全国で十数回開催し、各種のRDF化方式を紹介してきた。それにも関わらずRDF化技術や運転状況が把握されていないとの指摘は誤りである。さらに、8年前の平成12年6月に公布された循環型社会形成推進基本法では、排出抑制を柱とした3R(排出抑制、再使用、再生利用)を施策の柱とし、個別にリサイクル法を整備して実施しているにもかかわらず、発生抑制や減量を施策の中心とすべきとのコメントは時代遅れとしか言いようが無い。
 専門家である学識者がこのようなコメントを公表するとは思えない。RDF問題やごみ処理問題などについて全体的にコメントする中で、当然、排出抑制や減量施策に言及しているはずであり、取材した記者のレベルでまとめたとしか思えない。
◇     ◇
 ところで、今年(平成20年)4月10日に韓国の全南麗水市の全南大学 建設・環境工学部 李教授(京都大学衛生工学で博士課程卒)が来訪され、韓国のRDF化促進について協力を求められた。韓国では、従来の焼却処理方式からRDF化へ切り替えことを基本とし、現在、ソウル市(200トン/日)をはじめ、5か所でRDF計画が推進されているとのことであった。また、キムチ文化に象徴されるように塩分の多い生ごみが多いとのことでこれを分別することを想定しており、かつ製造したRDFを発熱量に応じて4段階に区分し、法律でセメント会社などでの利用を義務付けるなど合理的な施策が検討されているとのことであった。
 すでに述べたようにRDF化施設の維持管理費が高くなる理由の一つは、生ごみを含むので乾燥工程を必要とすること、及び利用先が限られているので、遠方までRDFを運搬しなければならない。よって逆有償になることにある。このような課題に国を挙げて対応しようとしており、韓国での成果に大きな期待を抱いている。
 しかしながら、RDF化施設以外に生ごみの処理施設が必要になる。これを解決する一つの方法は、生ごみを広域的に収集し、メタン発酵によりバイオガス回収が挙げられる。これにより従来の焼却・埋立方式から脱皮し、循環型社会の形成に大きく寄与すると考えている。
 また、平成20年5月25日に朝日新聞に掲載された生ごみ等を高温・高圧で処理する方式が白老方式として社会的に大きな注目を集めている。このような新技術を適用して製造したバイオ燃料も当然空気中では発熱することが予想される。近いうちに視察し、専門家の立場からその特徴や概要等を取り上げたい。
 今後の資源・エネルギー源の確保難や高騰は一層激しくなると考えられることから、廃棄物のバイオガスを含めた燃料化利用は重要な位置づけにあり、国家的な取り組みが不可欠である。毎日新聞が主張するような税金の無駄使いでは決してない。
下記に毎日新聞記事のPDFを添付。



RDFプラント全景事例(成型機付近を中心)

2008年06月24日